どこに地雷が埋まっているかわからない
「いじめはひとまず収まったのですが、それから娘はどんどん壊れていきました。不登校が続き、リストカットや暴力、暴言も激しくなって。心療内科に通い、投薬治療もしました」
そんななか、ヨリコさんが現在のパートナーと出会ったのはハルナさんが高校生のころ。危なっかしい娘に手を焼いていた時期だったから、どれだけ助けられたことかとヨリコさんは振り返る。それでもハルナさんには、母親に好きな人ができたことは許せなかったのかもしれない。
「娘に『お母さんは私にうそをついて男に会いに行った!』となじられたことがあります」
心が疲れていたハルナさんの、「いつも私だけを見ていて!」という思いがそんな叫びになったのだろうか。
「娘の場合、どこに地雷が埋まっているかわからないんですよ。さっきまで機嫌がよかったかと思えば、何かの拍子で鬼の形相になる。振り回されたくないから、どうしても触らぬ神に祟りなしとなりますよね」
繊細なハルナさんがどんなことにつまずくのか、ポジティブ思考の母にはいまひとつわからない。
高校も不登校が続いたが、生来の頭のよさもあって、ハルナさんは大学に無事進学、公務員試験にも合格して就職した。