出産後、ますますエスカレートする娘の要求

「年をとってから授かった一人娘ですから、親にできることは何でもしてやりたいとは思っていましたけど、限度がありますよね。さすがに娘も離婚してからは反省したのか、専門学校に入り直して介護福祉士の資格を取り、就職もしました」

やっと落ち着いて地道に生きる気になったかと、ほっとしたクミコさん夫婦だったが、さっそく職場で新しい彼氏ができてユミさんは再婚することになった。

「娘も30歳を過ぎ、ほどなく子どもも生まれて、もう浮ついた生活はしないだろうと安心しました。何より、孫が可愛くて、娘に『産んでくれてありがとう』と言ってしまったくらい」

リタイア後は覇気のなかった夫も、喜んで赤ちゃんの世話をするようになった。生活に張りが出たようでクミコさんも嬉しかったという。そんな2人を見透かしたように、娘の要求もエスカレートしてくる。「孫を連れてくるのに車が欲しい」と言われて購入費用を工面し、次は「近くに住みたいからマンションを買って」とおねだりされる。

「110万円の非課税枠で10年以上、毎年生前贈与していたから、頭金くらいは貯まっているはずなんだけど、もっとほしいというんです。私たちが贈与できるぎりぎりの額を別に出してやりました」