まるで実家をスポンサー扱い
まるで、実家は好きな暮らしをするためのスポンサーとでも思っているかのようだ、とクミコさん。「いずれ自分が相続するのだから、先にもらってもいいでしょ」と言わんばかりのユミさんの態度に腹も立つが、親のほうも娘と孫を手元に置いておきたい。その気持ちを利用されているのもわかってはいる。
「専業主婦の私のことを馬鹿にしていたくせに、自分は仕事を辞めて今は趣味のダンスに夢中になっています。このコロナ下でも子どもを私に預けてレッスンだの、お茶だのと出かけてばかり。それでワクチン拒否だからいい加減にしろと思います。もう娘にお金を援助するのは終わりにしようと夫婦で決めました」
今になって、娘の育て方を間違ったと反省しきりのクミコさんだが、2歳の孫の笑顔に癒やされるとつい、「この子の教育費は大丈夫かしら」と気にもなるのだ。
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知らず知らずのうちに母を支配する娘、いくつになっても反抗し続ける娘、親をあてにして自立できない娘……。困ったものだとため息をつきながら、いつまでも娘を庇護の対象としか見られないのもまた、母の業なのだろうか。