確実に、渡したい人に渡せる
4、最大の特徴ともいえるのが、保険金は「受取人固有の財産」であること。感謝したい相手を受取人にすれば、遺言書などがなくても、現金や土地など、遺す財産がない場合も、死亡保険に加入し、「渡したい人」にお金を確実に残せます。
「受取人固有の財産」であることが裏目に出てしまった2つの実例を紹介しましょう。
【例1】
再婚した夫は保険金の受取人を前妻の名義にしたまま急逝してしまいました。この場合は、お気の毒ですが前妻に保険金が支払われました。どんなに泣いてもわめいても、受取人固有の財産だからです。
【例2】
ある母親が病気で入院しました。夫は先立ち、長男と長女がいましたが、長女は結婚し、独立したため、長男と同居し、受取人を長男にした保険に加入していました。しかし、実際の看病をしたのは長女で、母親は、保険証券を長女に渡し、「保険金はあなたのもの」と言い残して亡くなりました。死亡後、長女は長男に渡った保険金は無効だとする調停を家裁に起しましたが、敗訴しました。
ちなみに公正証書遺言と違って、受取人を変更したい時は、遺言書を書く必要はなく、保険会社に連絡をして書類手続きを行い、不備がなければ1週間程度で変更できますし、費用も一切かかりません。
多くの相続の相談業務を通して、終活は遺影を撮ることや、断捨離をすることだけでなく「死後の手続きを完了するまで」だと実感しています。
保険業界では、死亡保険を「ラストラブレター」と呼ぶこともあります。
保険会社の中には、契約者が受取人に書いた手紙を預かり、お亡くなりになった時に渡す、というサービスをしている会社もあります。
今はシニアになっても加入できる生命保険も発売されるようになり、安価な保険も出てきました。
一度、お葬式代だけではなく「終活保険」という観点から保険を考えてみてはいかがでしょうか?
定期保険なら50歳女性・10年定期・300万円の保険金・毎月の保険料約900円で加入できる商品もあります。ただし、定期は更新型なので、更新時には保険料が値上がりすること、定期全般に言えるのは、終身タイプではないので、更新しても90歳までという商品が多いことに注意が必要です。
終身保険(解約返戻金あり)なら先ほどの定期保険と同条件でシミュレーションすると毎月の保険料は約5,800円となります。