俳句は芝居のセリフと似ている

だって、中学を出てから芝居一筋。学なんてまるでありません。お恥ずかしい話、「俳句ってアレだろ? 季語を入れときゃいいんだろ?」。そんなレベルでした。

『人生70点主義―自分を許す生き方』(著:梅沢富美男/講談社)

それでも、仕事は仕事。事前に出されたお題をもとに、ブツブツとつぶやきながら考える日々が続いていたのですが、あるとき、ふと気がつきました。

「あれ、俳句って、芝居のセリフと似てるんじゃねえか」と。

幼い頃、私が親父から教わった、伝統的なセリフをご紹介しましょう。

〈花の司(つかさ)の 牡丹でさえも 冬は菰(こも)着て 春を待つ〉

〈いかが堅固な 要塞も 内から敗るる栗の毬(いが)〉

声に出して読んでみてください。どうです、どちらも見事に七五調でしょう。

1つ目は、「初夏にきれいな花を咲かせる牡丹も、冬の間はじっと寒さを耐え忍んでいる。人間、我慢が大事だよ」という意味。

2つ目は、「敵に備えて立派な要塞を作っても、身内の内紛が起これば、あっという間に崩壊してしまう。内輪モメが一番危ない」という戒めです。