骨粗しょう症は命を脅かすリスクも
高齢化が進んだ日本では、10人に1人が骨粗しょう症と言われ、その7割以上を女性が占めています。骨粗しょう症とは、骨密度の低下などで骨強度が弱まり、骨が脆くなって骨折しやすくなる病気です。
成長期から徐々に高まる骨密度は、女性ではおよそ20~44歳にピークを迎えます。その値を100%として、80~70%に低下すると「骨粗しょう症予備軍」。さらに70%以下になると「骨粗しょう症」と診断されます。
がんや脳卒中、心筋梗塞のように直接的に命を脅かす病ではないものの、骨折すると、QOL(生活の質)が低下するのはもちろんのこと、それをきっかけに自立度や健康度が下がってしまうことが大きな問題点。
実際、高齢者が「要支援・要介護」認定を受ける理由のトップは、認知症や脳血管障害といった原因を抑え、骨粗しょう症による骨折や転倒、また関節障害を含む運動器障害なのです。
なぜ、年齢を重ねると骨密度が下がってしまうのか。骨は、破骨細胞が古くなった骨を壊し、骨芽細胞が新しい骨を作ることで、常に新陳代謝を繰り返し、強さを維持しています。
しかし残念ながら、この新陳代謝は年齢とともに崩れていくもの。特に女性は、閉経後に女性ホルモンが減少すると破骨細胞の働きが活発化して骨をどんどん壊してしまうため、骨芽細胞の働きが追いつかなくなります。つまり、男性より骨が脆くなりやすいのです。
骨粗しょう症になると、骨折した人の34%が1年以内に次の骨折をしているというデータがあります。これは骨が脆くなり、ちょっとしたことで骨折をしやすくなるだけでなく、1ヵ所が折れるとほかの部分も次々折れるという「ドミノ骨折」のリスクを示すもの。
また、痛みをあまり感じない「いつのまにか骨折」をしているケースも多く、1度目の骨折に気づかないうちに、生活に支障をきたす部位(次ページ参照)を骨折してしまう危険もあるのです。
あまり知られていませんが、破骨細胞が壊した骨のカルシウムが血液中に溶け出して血管にこびりつくことで、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病のリスクが高まることもわかっています。骨粗しょう症は命を脅かす病気にも深く関係している。ですから、今日から予防と対策を行っていきましょう。