生活習慣の見直しと運動が大切
若い頃からバランスのとれた食事や運動を心がけて、丈夫な骨を増やしておくことが骨粗しょう症予防の鉄則ですが、残念なことに、減ってしまった骨密度を増やすことは容易ではありません。特に閉経後の女性は、(1) 生活習慣の見直しと運動でいまの骨密度を維持する、(2) 転ばない体作りをする、の2点が大切になってきます。
そのために、まずは自分の骨密度を知ることからはじめましょう。骨粗しょう症は骨折するまでほとんど自覚症状がないため、40歳を過ぎたら定期的に骨密度の検査を受けることが大切。
検査にはさまざまな種類がありますが、骨密度を正確に知るためにはエックス線で背骨や太ももの付け根、腕の骨の量を測定する「DXA(デキサ)法」での測定がおすすめです。ただ現時点で、この検査ができる医療機関は限られるため、測定を希望される方は、「DXA法」の測定機器があるかどうかを病院に確認するようにしてください。
検査で「骨粗しょう症」と診断されたら、早めの治療が肝心。骨からカルシウムが溶け出すのを抑える「骨代謝抑制剤」や、骨が作られるのを促す「骨形成促進剤」、またビタミンDなどの薬で、骨粗しょう症による骨折はかなり防げるようになりました。
そして治療が必要な人も、そこまでではない人も、骨密度の減少を最小限に抑えるための食事や運動などの生活習慣の改善が、いつまでも自立した生活を送るためには必須です。
特に、年齢を重ねると食が細くなるため、栄養バランスが偏りがち。後編で紹介する健康な骨を維持する栄養素を意識して、バランスのよい食事をするように心がけてください。
運動は、骨密度の維持と転ばない体作りの2つの観点から、後編で紹介する方法を行います。骨密度の低下を抑えるためには、骨に少し強めの振動を伝える方法が有効。転倒予防は、ふんばるための下半身の筋肉と、よい姿勢を保つための背筋・腹筋を鍛えることで、ふらついても元に戻れるようにしていきます。
いくつになっても元気で、自立した生活を楽しみ、そして最後はピンピンコロリ。そんな理想を実現するためにも、〈転ばぬ先の骨作り〉を心がけましょう。