最近転びやすくなった、階段を降りるとき心もとなく感じることがある……。いずれも足の力が衰えているサインです。年齢とともに落ちていく「歩く力」を守るために必要なこととは?(構成=浦上泰栄 イラスト=本田佳世)

アキレス腱は足の健康の要

年齢を重ねても自分の足で歩き続ける力を保つには、足の柔軟性と筋力、この両方を維持することが必要です。

足の柔軟性で重要なのがアキレス腱。アキレス腱が柔らかければすねの骨が前側に倒れやすくなり、歩行もスムーズになります。

若い頃、ヒールの高い靴をよく履いていた人はアキレス腱が硬かったり、短くなっていたりすることが多く、すねが10度以上前に倒れない人は要注意。「壁ドンアキレス腱伸ばし」を毎日行いましょう。いまは問題がない人も、将来のために日課にしてください。

安定した歩行のために、足裏の筋肉が果たす役割も見逃せません。

人は歩くとき、足の裏で地面をギュッとつかんで踏んばっています。このため、足裏の筋力が衰えると、転倒リスクが大幅に高まってしまうのです。また、足裏の筋肉が落ちると足のアーチが崩れやすくなり、その結果、さまざまな足の変形や病気を招くことに。足裏の筋力強化には「足首サッサ」と、「タオルギャザー」が有効です。

長く歩き続けるために不可欠なのが、下半身の筋力です。なかでも、太ももを後方に振るときに使われる「大殿筋」と、アキレス腱につながっていて、つま先を伸ばすときに使う「ヒラメ筋」の筋力は、できるだけアップさせたいもの。

スクワット+ヒールレイズ」は、二つの筋を同時に鍛えることができます。基本の「壁ドンアキレス腱伸ばし」と、ほかのエクササイズを組み合わせて、毎日行いましょう。1ヵ月も続ければ、歩幅が大きくなり、歩くスピードが速くなるのを実感できるでしょう。

最後に、歩く力を高める特効薬は、やはり歩くこと。

足の変形を改善し足裏のアーチを整える効果があります。ストレッチや筋トレと並行しながら、ウォーキングにもぜひ取り組んでください。

以前は、健康維持のためには1日1万歩歩くのが望ましいといわれていましたが、現在は1日8000歩くらいが理想的というデータも。数字にはこだわらず、気持ちよく動ける範囲で歩き続けてほしいと思います。