「投資も寄付も、人のためになるという意味で利他的な行為だとは、目からウロコの発見です。」(荻野さん)

投資や寄付で社会とつながりを

常喜 私たちは夫婦で今年、夫の実家があった市にふるさと納税をしました。そこで代々営んでいた病院の建物や住まいが国の登録有形文化財に指定されたのですが、土地と建物を自治体へ寄贈したんです。その維持管理費や修繕費の足しに少しでもなればと思って。

大江 最近はどうも返礼品目当ての通販サービスのようになっていますが(笑)、ふるさと納税は本来とてもいい制度です。たとえばある自治体にふるさと納税で10万円を寄付すると、自治体には同額の10万円が届きます。寄付した人はすでに納めた所得税や翌年納める住民税から、約5万円が控除されます。

控除された分はどこから出るかというと、寄付した人の住む自治体や国が集めた税金。つまり自分たちが納めた税金を、「こんなふうに使ってほしい」と指定することができるわけなんです。

荻野 投資も寄付も、人のためになるという意味で利他的な行為だとは、目からウロコの発見です。

大江 使っていないお金を世の中に回すことで、知らない誰かとつながれる。老後の心配には「孤独」もあると思うので、投資や寄付で社会とつながりを持つのも大事な備えではないでしょうか。