奇抜なファッションの女性を連れて

そんなある日、息子が「バツイチだけど、結婚願望が強い女性とつきあっている」と言う。私は「しめた」と思い、一度その女性に会わせてほしいと息子に頼んだ。

最初はしぶしぶといった様子だった息子も、私がせっつくものだから、だんだんその気に。そしてとうとう初対面の日がやってきたのだ。

「夕方、近所のレストランに連れて行くから」

とのことで、私は早めに店に行って1人で待っていた。息子が、背が高くスタイルのよい女性を連れて、店に入ってくる。互いに自己紹介し、席に座った。ハキハキと話す、目のパッチリとした可愛らしい女性だ。

だが、仕事の途中ということで、食事もそこそこに彼女は帰ってしまった。ちょっと落ち着きのない人だなとは思ったものの、モデルをしていると聞き、そのスタイルのよさと奇抜に感じる服装にも、一応納得したのである。

そして、その数日後。彼女は、別れた夫との子だという6歳の可愛らしい女の子を連れてやってきた。親子お揃いの白いワンピースがよく似合っている。玄関に立ったままなので、「ここでは何だから」と、奥へ通そうとしたが、なぜか彼女は頑なに拒む。子どもと、顔を見合わせて笑っている。変な雰囲気だ。

私がなおも中へ招じ入れようとすると、息子が、「自分の実家にもなかなか入れない人だから」と言う。後で知ったのだが、彼女は結婚に失敗したことで、父親に勘当されたというのだ。

できちゃった婚をして、すぐに離婚。産んだ子は、親に預けっぱなしだったとか。それでは愛想をつかされても仕方がない。子どもを引き取って、早く新しい家庭を築きたいということであろう。