末富「福豆」

吉祥をもたらす
宝舟の焼印が捺された
木地の桝には
おめでたい二種の豆

 

立春前日の節分に、炒り豆をまいて鬼を退散させ、福の神を招き入れる厄除招福の習慣。「鬼はそと、福はうち」の声とともに豆をまき、年の数だけ豆をいただきますが、そんな福をもたらす豆にちなんだ菓子が「福豆」です。

砂糖の衣をまとわせた炒り豆と、小麦粉、砂糖、山芋を合わせて一つひとつ手で丸めて炭火で焼き上げた菓子が、木地の桝に入っています。

桝や掛け紙には宝舟の絵。上方では節分の夜に宝舟の絵を枕の下に敷いて吉兆の初夢を見ようとする習わしがあり、この時季、さまざまな神社で宝舟の絵を授かることができます。この菓子の掛け紙の宝舟は、日本画家の池田遙邨の手によるもの。

「なかきよの……」で始まる歌は、上から読んでも下から読んでも同じ音になる回文で、節分の縁起良い文言です。