サラ金とは一体何だったのか
2006年12月に制定され、2010年6月から完全施行された改正貸金業法は、サラ金業界に極めて大きな影響を与えた。
この法改正により、利息制限法と出資法との間に存在した法定上限金利の差(いわゆるグレーゾーン金利)が明確に否定され、金利は最高でも年20%に引き下げられた。過去に払いすぎた金利は「過払い金」として取り戻せることが広く知られるようになり、各社の経営は著しく悪化した。
現在、アイフルを除く大手は、軒並み銀行の傘下に入っている。主要企業が加盟していた日本消費者金融協会(JCFA)も、2014年に解散。長く業界最大手だった武富士は、紆余曲折の末、2017年に会社更生の手続きを終えて倒産し、過払い金の返還を停止している。
かつて、サラ金各社は、毎年のように法人所得ランキングの上位に食い込み、創業者一族が高額納税者番付に数多く名を連ねていた。その一方で、利用者はしばしば深刻な多重債務に陥り、苛烈な取り立てによって少なくない人びとが破産に追い込まれた。
華やかな経済的成功に彩られながら、膨大な数の被害者を生んだサラ金とは、一体何だったのか。なぜ急速な成長の後、一転して挫折と停滞を余儀なくされたのか。