言葉は肯定的、具体的に
では、どうすれば人間関係をスムーズにし、自分も前向きになれるのでしょうか。大前提として、自分軸でものごとを考えること。「私はこれが好き、こう感じる」と自分の気持ちに正直になりましょう。決してわがままではなく、自分を大事にすることで他者も尊重でき、「私には私の、相手には相手の意見がある」と寛容になれます。
人と話すときは、「I(アイ)メッセージ」を意識。相手の意見に合わせる、あるいは否定するのではなく、「私はこう思う」と自分視点で伝えるのです。
人に何かをお願いしたり、希望を伝えたりするときは、具体的に内容を示すことも大切です。特に家族など近しい間柄だと、「ちゃんとしなさい」「しっかりやって」と曖昧な言葉を使いがちですが、「しっかり」とはどの程度なのか、人によって解釈は異なります。
また、「~しないで」ではなく「~してね」と肯定的な表現をするほうが、相手の気分を損ねません。基本的に、人は否定的な言葉をぶつけられると反発するものなのです。
一つ注意していただきたいのは、同感を表す言葉。友だち同士の会話で、よく「わかる」と言いますよね。仲間意識が高まる言葉ですが、安易に多用すると、相手は「彼女は私のことをわかってくれる」と、べったり依存する危険性も。
実は依存と攻撃は表裏一体なのです。わかってくれなかったときに裏切られた気持ちになって、攻撃が始まるケースもあります。安定的な人間関係を築く秘訣は、一定の距離感を保つことです。人それぞれ経験や価値観が異なることを心に留めておきましょう。
一方、誰もが心地よく感じる「うれしい」「ありがとう」「助かったわ」といった喜び、感謝、尊敬を表す言葉は、素直に口に出す習慣を。人間の心理には、人からの好意にお返ししたくなる「好意の返報性」があります。プラスのメッセージを発していれば、前向きな言葉が返ってくるようになるでしょう。
次ページから、シチュエーション別の会話事例を紹介します。言葉の使い方を変えることで、周りの対応が変わり、それによって自分もハッピーになる。人間関係が好転するだけでなく、人生が変わりますよ。