（2ページ目）ジェーン・スー　かつて推奨されていた「男に追いかけさせる」恋愛テクニックは今。ネット検索してたどり着いた世知辛い現実連載：スーダラ外伝｜連載

自分がNetflixやhuluより面白いと思っているんですか

恋愛の価値がグッと下がったと言われる昨今、若者たちは追いかけっこになんて頭を悩ませないはずだ。もっと穏やかな人間関係を好んでいるに違いない。

とはいえ念のため、ネットの検索窓に「追いかけさせる」を入れたら出てくるわ出てくるわ、男を追いかけさせる方法の数々。なんだ、あんまり変わっていない。結局は、時代がどの層にスポットライトを当てるかだ。我々が若かった時代にも、恋愛なんて二の次という人たちは大勢いただろうし。

肝心の追いかけさせるテクニックは、どれを読んでもまったく頭に入ってこなかった。「好意は示すが好きとは言わない」とか「ミステリアスなままで」とか、私が匙を投げた若い頃と同じようなことばかり書いてあった。

唯一説得力があったのは、「男は女より感情変化の気づきに時間がかかる」というもの。恋愛感情に限った話ではない。男のほうが先に気づいていたなんてこと、私の人生ではほとんどなかった。

わからないなりにいくつかネットの記事を読み進めていくと、「男に追いかけさせるのはもう古い」という見出しを見つけた。現代はネットやゲームや動画配信など、以前に比べて恋愛より苦労なく楽しめるものがわんさかあるので、逃げる女性を追いかけるコストを払う男性は激減したそうだ。

記事は、「だいたいあなた、自分がNetflixやhuluより面白いと思っているんですか？」と辛辣なコメントで締めくくられていた。

なんとも世知辛い。だが、確かにそうだ。私だって、失敗リスクを背負って新たな出会いを積極的に探すくらいなら、家でドラマを観てるもの。