自立や自由を求める声が多かった

アンケート結果を読み解く前提として、何をもって幸せとするかの価値観は、人それぞれ。非常に曖昧なものであり、これには世代の違いが大きく影響することもお伝えしておきたいと思います。戦争体験者を例にとるとわかりやすいのですが、戦時下の過酷さを思えば「いまはすべて幸せに感じる」と話す方は多い。『婦人公論』は読者の年齢の幅が広いので、世代による感覚の差がよく表れているように感じました。

着目すべきは、自立や自由を大事にしている人が多いこと。かつて老後は子どもに面倒を見てもらうのが幸せ、という価値観が一般的でしたが、皆さんの回答を見ると、必ずしも子どもと同居している高齢者ばかりではない。夫と死別後、独居を続ける人も多いようですね。このことに私は関心を持ちました。

子ども世代もまだ仕事がありますし、住宅事情で同居できないケースもあるかもしれません。ただ、老いても住み慣れたところで自由に暮らしたい、夫婦でできる限り頑張りたい、という強い意思も感じます。ゆくゆくは誰かの世話にならなければならない未来が待ち受けているかもしれないけれど、少なくともそれを望んでいる人ばかりではないんですね。

体が不自由になっても最期まで自立していたい、という思いは、自らの尊厳を守りたい気持ちの表れでもあります。特に就学先も結婚相手も自分の思うようにならなかった世代にとって、いまになって自由を得られた喜びは想像以上に大きいでしょう。このことは、子ども世代も理解しておく必要があるかもしれません。

この先、80代、90代の独居者はますます増える可能性が高いので、私も同世代の友人たちと、ソーシャルロボットと暮らすことについて話すようになりました。家事などの用事をきっちり済ませてくれるロボットがいいわという人もいれば、「今日は雨ですね」「そろそろ美空ひばりの歌でも歌いましょうか」なんて言って、自分の気持ちに寄り添ってくれる相棒みたいなロボットがほしい、という意見もあって面白いですよ。(笑)