【行政サービス】まずは地域包括支援センターへ
多種多様なサービスから選んでくれる
民間企業のバラエティ豊かなサービスは魅力だが、自分のニーズに合ったものを探し出すことが難しい人もいるだろう。そんな時には、まずは「地域包括支援センター(高齢者支援センター)」を訪ねるのがよさそうだ。
「要介護や要支援状態の人のための施設だから、自分は関係ない」と考える人も多いだろう。
だが、2015年に介護保険法が一部改正され、65歳以上の高齢者・要支援認定者の生活支援などを市区町村が主体となって行う「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」が始まった。
これにより、各地域のシルバー人材センターをはじめ、NPOやボランティアまで巻き込んだ取り組みが進み、さまざまなサービスが生まれている。
私が日頃頼りにしている父の担当ケアマネジャーHさんにアドバイスを求めると、やはり「今は、民間企業から小さなボランティア団体まで新しいサービスを提供するところがどんどん出てきているので、個人での情報収集は大変かもしれません。情報は地域包括支援センターにも入るので、そこから問い合わせるのが確実」とのこと。
そこで、充実した高齢者福祉で知られる長野県安曇野市の長寿社会課と介護保険課に話を聞いた。
「安曇野市では介護保険制度で受けられるサービスの総合事業とともに、独自の『在宅高齢者福祉サービス』を実施。地域ごとに生活支援コーディネーターを配置して、65歳以上のすべての方を対象に相談に乗り、『生活支援サービスガイドブック』という冊子をお配りしています」と、長寿社会課の丸山さん。
ガイドブックには高齢者の暮らしに必要となる、民間、NPOからボランティアまで含めたサービスの内容や料金、連絡先などがずらりと並んでいる。
「特に在宅高齢者の方に人気が高いのは、配食サービスですね。お弁当の配達と同時に、安否確認も行っているのが特徴です。ほかにも、ゴミ出し作業をシルバー人材センターに委託するサービスの依頼も多くあります。地域柄、冬場の除雪もニーズが高いです」
私も自分の住むエリアの地域包括支援センターが出している小冊子を調べてみると、シルバー人材センターの受託による「そよ風サービス」というサービスが掲載されていた。
内容は、朝のゴミ出し、買い置きのある電球の取り換え、ストーブの給油など10分以内の作業が1回100円。
軽い家具の移動、日用品の買い物代行、植木の水やり、布団干しなど30分以内の作業が1回500円。簡単な家具の組み立てやテレビの配線など60分以内の作業が1000円とある。
これなら、金銭的な余裕があまりなくてもお願いできそうだ。多少目の前が明るくなり、還暦を過ぎた自分の姿を思い描く。
元気なうちはシニアボランティアやシルバーさんとして働いて、しんどくなったら逆にサービスを利用する。そうだ、そうしよう!