「M-1グランプリ」審査員を務めてきたオール巨人さん。長く漫才の場に身を置いてきたからこそ、たどり着いた「採点基準」とは(写真提供:ヨシモトブックス)
1975年に漫才コンビ、オール阪神・巨人を結成。デビュー直後から爆発的人気を博し、正統派しゃべくり漫才コンビの地位を築き上げたオール巨人さん。「上方漫才大賞」「上方お笑い大賞」「紫綬褒章」など、数々の受賞歴もお持ちのお笑い界の「レジェンド」的存在です。そのオール巨人さん、2007年から3年間、さらに16年から今に至るまで、日本一の若手漫才師を決める大会「M-1グランプリ」審査員を務めています。そして長年、漫才の場に身を置いてきたからこそ、その採点基準もはっきりしているそうで――。

ことは思う通りには進まず

M-1の審査員は、ずっとやってみたかったんです。番組が始まった当初も、紳助に「やらしてくれよ」とお願いしていた。

なのに、

「何言うてんの。お前んとこはまだ若手とも闘っている状態や。そんな人間が審査をやったらアカン」

そう断られてねえ。でもそれは、きっと紳助の建前なんですよ。最初は漫才とはまったく関係ない人も審査員をされていましたから。

そして、M-1が始まって6、7年目のこと。急に紳助から「巨人、出るかー」と打診されたんです。

そのときに僕は思いました。「つまり、オール阪神・巨人はもう闘ってないのか」と。口には出さなかったですが。とはいえ、せっかくだし一度やってみたいな、と快諾しました。

若手の漫才師に、言いたいことがいっぱいあったんです。それまでM-1を観ていても、「違うわ、ここはこうやねん」なんて、テレビの前で熱くなっていたほど。非難ではなく、長年漫才に向き合ってきた僕だからできるアドバイスをしたかった。