なぜオズワルドのネタに審査員7名のうち6名が最高得点をつけたのか

それと、「誰もが分かるネタかどうか」は採点に影響します。お客さんが頭を使わないといけないネタは、良いネタとは言いがたい。頭を使わせていいのはクイズ漫才だけです。

漫才をする当人は何度も練習しているあいだに消化できているから、当然お客さんも分かるとつい勘違いをしてしまうんですよね。僕たちもたまにあります。この言葉を抜いても大丈夫だろうとたったひと言省いただけで、まったくお客さんに届かないことがある。プロとして失格です。

お客さんはとにかく笑いたい。だから多少は頭を使ってくださるのでひねった内容でもいいのですが、一言一句聞き漏らさないとよく理解できないネタは避けたほうがいいでしょうね。

「『誰もが分かるネタかどうか』は採点に影響します。お客さんが頭を使わないといけないネタは、良いネタとは言いがたい」(写真提供:PhotoAC)

オズワルドも、2020年のネタは難しかったけれど、2021年の「友達を一人ちょうだい」という一本目のネタは非常に分かりやすかった。さらに、前年の僕と松本君の違う意見もうまく取り入れて、完璧な漫才に仕上げた。

結果、ファーストラウンドでは審査員7名のうち6名が最高得点をつけたわけです。

一方、2018年の決勝でジャルジャルが披露した国名を分けるゲーム漫才は、分かりづらいという声があったものの、僕は高得点をつけました。最終的に「あ、そういうことだったんだ」と納得させてくれるネタだったからです。4分間という短い時間の中で、最後にしっかり完結させたから良かった。