ネタ振りの回収が大事

完結すれば、お客さんは最終的に大笑いできる。4分のうち最後の30秒に大爆笑をとれればそれも良い漫才なわけで、「結局、なんやったんかな?」で終わるのがダメなんです。

お客さんが「最初に言ったの何? なんであんなこと言うたんやろ」と気になっていても、最後にきちんと解決できればOK。起承転結の結、つまりネタ振りの回収が大事なんですよね。

例えば見取り図は、最初に訳が分からないことを言って、3分を過ぎたあたりに「さっきのあれ、ホントはなんやったん?」と蒸し返す。そういう手法もあるわけです。

それはダメという意味では、漫才をやりながら本人が「あっはっはー」と誘い笑いをするのも厳禁。昔から先輩にもきつく言われたものです。それでもやっている人はいますけどね。

誘い笑いは、笑い袋と同じ。釣られて笑ってしまうのであって、芸でも何でもないと思います。

※本稿は、『漫才論 - 僕が出会った素晴らしき芸人たち』(ヨシモトブックス)の一部を再編集したものです。

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