〈原因〉免疫の低下でウイルスが活性化

水痘(水ぼうそう)を起こすヘルペスウイルスが原因です。水痘にかかった後、ウイルスは知覚神経の根元の細胞に潜伏しています。免疫が低下すると、このウイルスが再活性化して、末梢神経を伝わって皮膚表面に出てくるため、その神経が支配する領域の皮膚に痛みを伴う症状が出てくるのです。

免疫の低下には2つの要素があります。1つは体力そのものが落ちているケース。過労や睡眠不足、精神的なストレスは免疫を低下させます。そして高齢になれば誰でも免疫は低下します。また、がんの治療で使う抗がん剤や膠原病でステロイドを投与されている場合なども、帯状疱疹を起こしやすくなるのです。

もう一つは、水痘ウイルスへの免疫低下です。以前は水痘、つまり水ぼうそうにかかる子供の親世代や幼稚園の先生などは、水痘ウイルスの感染機会が多く、免役が随時追加されて帯状疱疹になりにくかったのですが、2014年から1歳児全員に水痘ワクチンを接種するようになってから水痘の流行が無く感染機会がなくなり、親世代の帯状疱疹が急に増えてきました。

このため、かつて帯状疱疹は生涯に一度しかかからないと言われていましたが、今や様々な原因による水痘ウイルスへの免疫低下により、生涯に2回以上かかる人や、4~5年で再発する人が増えてしまったのです。