化粧まわしを持って小走りする姿に爆笑
「新感覚」といえば、7日目のNHK総合テレビの相撲放送は面白くて、学びが満載だった。間垣親方(元横綱・白鵬)が、日本相撲協会公式キャラクター・ひよの山を対戦相手に見立て、アクション解説をした。微妙な相撲の攻防が分かり、ますます相撲が好きになった。そして、インタビュールームに来た勝ち力士は、アナウンサーではなく間垣親方かいるため、気の毒なほど緊張状態。間垣親方はどの力士にも相撲のアドバイスをしているそうだ。
相撲愛に燃えるゲストの俳優・松重豊さんは2代目の豊山(元小結)の大ファンで、私も大ファンだったので懐かしい取組のビデオが見られた。元大関・若嶋津(現・荒磯親方)と歌手・高田みづえさんの娘であるアイリさんは相撲部屋で育ったので、力士の話も実感があって面白かった。
そしてファンの見たいところにカメラが入り、土俵入りの苦労を知った。幕内力士の土俵入りの後に横綱土俵入りがあるため、東方で待つ照ノ富士のところへ、西方で幕内土俵入りを終えた太刀持ちの前頭8枚目・照強と露払いの前頭16枚目・翠富士が、重い化粧まわしの両端を手で持って、国技館の長い通路を走るのである。小走りするその姿の可愛さに爆笑してしまった。
到着して、何事もなかったように照ノ富士と共に花道に登場する二人。間垣親方は「横綱は土俵入りをすると1番か2番相撲を取ったように疲れる」と言っていたが、照強も走った後に息切れも見せず、太刀をふらつかせず片手で持つのは大変だろう。日ごろの相撲の稽古がここに活きる。
私は3日目に国技館の2階席で観戦した。
相撲を見る前に、国技館1階の相撲博物館で特別展「69代横綱・白鵬翔」(5月22日まで)を見た。
展示された豪華な化粧まわしに、これを身につける責任の重さも感じた。白鵬が場所で座った座布団に座れるコーナーがあり、座ってみたが、フワフワで心地よいのに驚いた。座布団の隣には、腕を組んだ白鵬の像(ベンチアートin丸の内〈東京〉で展示されたもの)があり、係員さんにすすめられてスマホで撮影してもらった。
観客席について写真を見たら、壮絶に劣化したバアサンが暗いオーラを発して坐っていた。「この劣化はひどい!今後さらにひどくなる」と思うと、老後の不安でしばらく土俵に集中できなかった。しかし、力士について楽し気に語るまわりの観客の声で立ち直った。大声での声援は禁止だが、飲食中以外はマスクをしていれば会話は許されている。「ワァ」という勝負が決まった時に自然にもれる観客たちの声、拍手のタイミングの良さ、大相撲観戦は国技館でもテレビでも両方楽しい。