――7代目を継がれた時は伝統的な商品しかなかったとお伺いをしております。その状況から、今のモダンなモノづくりをしていく中で一番大事にしている塩梅は何だったのでしょうか?

松本 自分の中では「白の質感」なんですよね。マットな質感を出すために釉薬を薄く刷毛で巻くことで、独特の質感になるんです。この質感の上にゴールドやプラチナを乗せると、大人っぽい印象になっていくんですよね。

ゴールドやプラチナは、通常の釉薬の上に乗せていくと鏡みたいにピカッと光り過ぎてしまう。弊社の商品の特徴である「銀のような質感」にはならないんです。

絵付けに関しても、やはり独自の「白」の上に絵付けを行うことでモダンな雰囲気になっていく。他社との違いが明確にわかるような白の質感と技術にこだわっていますね。

結局焼き物って化学実験のようなもので、いろいろな要素を組み合わせて試作をしていくんです。でも、元の土や釉薬の部分で差別化していかないと、やっぱり似たり寄ったりな物が出来てくる。細かい部分ではあるのですが、ブランドを構築していく中で重視しているポイントですね。

工房の一角で松本さん(右)に話を聞く安井さん