俳句を始めてみたい人、ちょっと経験のある人にお送りするスペシャル企画です。人気の俳人・夏井いつきさんが講師となり、作句のコツを伝授。これを読めば、すぐ一句詠みたくなること請け合いです(構成=篠藤ゆり イラスト=霜田あゆ美)

「みんなのギモンに答えます〈俳句の悩みQ&A〉」はこちら

5音や7音のものを探す

さて、まずは12音の「俳句のタネ」をつぶやくところから始めましょう。脳の高尚な作業などいりません。五感をフルに使って、自分のまわりに「何があるか」を見つめて、5音や7音のものを探していきましょう。

風光明媚な場所に出向かなくても大丈夫です。外へ出かけられなくても、家の中にも俳句のタネは無限にありますよ。「テーブルの上にコーヒーカップの跡がついている」とか、「カップが欠けていた」とか、何かしら昨日と違う点が見つかるはず。

たとえば、「新聞紙」というタネを見つけたら、もう5音のできあがりです。そのタネをさらに7音で語ってみましょう。「猫がかじった新聞紙」「箪笥(たんす)のなかの新聞紙」「雨の匂いの新聞紙」など、ほら、とっても簡単ですよね。

リビングや台所はものや食材が多いので、タネの宝庫です。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の「五感」のアンテナを外に向け、身のまわりを観察する人は、タネを見つけられます。逆に「自分の頭の中から引っ張り出そう」と意識を内に向ける人は、迷路に入ってしまいがち。

いつも通っている駅までの道も、ぼんやり歩いているのと、タネを探そうと思ってキョロキョロするのでは、世界が違って見えてきます。公園の木の葉が虫に食われているのを発見したり、横断歩道に差す光が夏めいてきたことに気づいたりするかもしれません。