イラスト:竹井千佳
長く続いた新型コロナウイルスの感染拡大により、上場企業の早期・希望退職は2年連続で80社、1万5000人を上回った。続くと思っていたサラリーマンとしての生活が突然絶たれた時、有り余る時間やストレスから、人間の本性が垣間見えてしまうことも。石井由美さん(群馬県・主婦・44歳)も、嫁ぎ先の父が、リストラを機に豹変してしまったという。

温泉旅行で本性が

舅は私より30歳年上だが、背が高くて姿勢もよく、とても若々しい。初めて会ったときは、「夫がいい感じに年を重ねるとこんな男性になるのだろうな」と期待を持ったほどだ。

私たち夫婦に子どもが産まれてから、少し落ち着いたころ、舅がリストラにあった。「一緒にお昼を」とわが家に来ては、レストランで食事をするようになる。そんなある日、舅が私に「新しい車を買ってやる」と言い出した。全額出してくれたが、舅が指定した車種で、私が選べたのはボディカラーだけだった。

そのうち彼は毎週家に遊びに来るようになり、ホームセンターにつき合わされたり、ハローワークで何時間も待たされたり、何かにつけ私と一緒にいようとする。夫に話しても、「お前はヒマなんだから、少しくらい相手をしてやれ」と、舅の肩ばかり持ってまったく話にならない。

さらに舅は、私たち家族との温泉旅行の計画を立てた。夫は舅がお金を出してくれるので喜んだ。私も、「姑が一緒だし、変な行動には出ないだろう」と思って、一緒に行くことに。

レンタカーを借りて、信号待ちで停車していたときのこと。突然、運転席の舅が振り向き、平然とした顔で後ろに座っていた私のスカートに手を入れ、太ももをなでてきたのだ。私は呆然としたが、信号が変わると、舅は何事もなかったかのように運転を続ける。助手席には姑、私の隣には夫が座っていたが、舅の行動に対して、誰も何も言わない。

車から降りたとき、私は夫に「お義父さんが私の足を触ったの、見たよね」と聞くと、「親父は寂しいんだよ」とわけのわからないことを言う。舅にはちゃんと姑がいるではないか。息子の妻の太ももを公然と触って、なぜ誰も舅をとがめないのか。頭に血が上って、旅行中はモヤモヤした気分が晴れることはなかった。