幼児に伸ばしたい、数の感覚と空間認識力

――本書では、算数脳を育むための知育教材として、積み木やパズル、囲碁・将棋などを例に取り上げています。てぃ先生のおすすめは何かありますか。

てぃ先生 僕はいつも子どもの思考力を大切にしたいと考えています。「Aくんが3位のBくんを抜きました。Aくんは何位でしょう?」というような問題がありますよね。こういうのが、まさに思考力やイメージ力が総合的に試される問題であって、これを聞いてすぐ答えられる子は、掛け算ができる子よりも頭がいいと僕は思うんです。

この手の問題の場合、聞いただけで理解できる子、図にされればわかる子、手取り足取り教えたらわかる子と、レベルの差がある。そこで、例えばゾウとウサギとキリンの人形を並べ、「一番前を走っているのは誰だ」「ウサギさん」「じゃあ2番目は」と、普通に遊びながらものの順位、順番を教えるようにしています。数字を文字情報として捉えるのではなく、一つの塊として捉えられるようになったらな、と。

高濱 おっしゃる通りです。大きくなると、頭の良さ勝負をさせられる場面は必ず出てきます。そのトップとしての中学入試の定番が、空間認識力を試す図形問題、場合の数、整数問題の3つです。これらはまさに数を塊として捉えられるかどうか、数の感覚を試すものです。

じゃあ幼児はどうすれば数を認識できるのか。具体的に数えてみるというのは、数の物理的な存在感を感じられるのでいいでしょう。順序も大事です。

3+5=8という計算が素早くできるというのは、言ってみれば作業にすぎません。できるに越したことはありませんが、最も重要なのはイメージです。イメージ力を育てるにはコツがあります。数を直感できるような遊び、ゲーミフィケーションが幼児には最適なのです。

『なぞとき×算数脳 子どもは難問が大好き!』(著:高濱正伸/中央公論新社)