積木遊びで空間認識能力を鍛える
てぃ先生 最近、僕が担当している4歳児クラスで試みているのが、こんな積木遊びです。手前に2段、その隣に2段、そしてその奥、子どもたちからは下の部分が見えない位置に3段積み、「積木は全部で何個ある?」と聞くんです。表面だけを見る子は「5個」と答えますが、見えない部分、手前の積木の裏までイメージできる子は「7個」と答える。
高濱 立体問題の定番ですよね。見えない部分が見えるかどうかが勝負の問題です。
「地球上のある地点から、南に10キロ、東に10キロ、西に10キロ、北に10キロ行ったら、元に戻ってしまいました。それはいったいどこでしょう?」という問題も、それと似ています。答えは北極と、他にもう一つあります。これは、頭の中で地球儀をイメージできるかどうかが勝負です。
こうした空間認識能力には実は臨界期があり、幼い頃に鍛えるしかありません。私の経験上、小学1、2年生では「あ、今伸びているな」というのが端から見ていても感じられますが、小学5年生の段階で空間が苦手とか方向音痴と言っている子で、その後得意になるケースはほとんどない。
てぃくんのように保育園で積み木遊びをしてくれる保育士さんがいてくれたら、最高ですね。それにしても、本当に絶妙なポイントを嗅ぎつけてくるなあ。あなたとの対談は3回目だけどいつも驚くよ、なんでそんなにわかってるのか、って。
てぃ先生 (笑)。全部自分にないものなんです。自分ではできたことがなくて。自分にないものを子どもたちに押しつけようとしているわけではないんですけど(笑)。
高濱 「なぞペー」(花まる学習会の思考力教材)にも、今の2つの問題は入っていますよ。私がプロとしての数十年の経験から、ここが肝だなと思って教材や本にしたのに、てぃくんはそれをこともなげに実践している。