高濱さん「私がプロとしての数十年の経験から、ここが肝だなと思って教材にしたのに、てぃくんはそれをこともなげに実践している」

親の唯一の仕事は、我が子の心の動きを見逃さないこと

高濱 「子どもとゲームをやるとき、手加減すべきでしょうか」というのもよく聞かれるんだけど、両方あるんですよ。

僕の知る数学者には、お父さんがまったく手加減しなかったという人が多くて。算数オリンピック専務理事のピーター・フランクルさんなど、小さい頃にチェスで一度も父親に勝ったことがなかったそうです。それが悔しくて悔しくて、と言っていました。ある程度能力のある人の場合は、そのほうが這い上がってくるかもしれない。

でも、子どもの心はナマモノですから、常に心がどんな状態にあるかを見極める必要があります。親の唯一の仕事は、我が子の心の動きにアンテナを張っておくということ。これに尽きますね。

てぃ先生 何かを始めたのに、なかなか上手にならなくて子どもが途中でやめたいと言ったようなときには、「じゃあ○月×日までは頑張ろう」と、期間を決めてみるのがいいかもしれません。その日まで続けられたら、ひとまずやり切ったことになる。途中で諦める癖をつけさせたくないという親御さんの懸念も多少は払拭されそうです。

高濱 「期限を切る」というのは使えるんですよね。

子どもは長期的な未来のことをルールとして一緒に決めると、受け入れやすいようなのです。「小学6年生になったら、お父さんと旅行に行こうな」と1年生の頃から言っておけば、時が来ると素直についてきますが、6年生の時点で突然思いついて「旅行に行こう!」と誘っても、「冗談じゃねえ」となる。お小遣い制度にしても、「中学生になったら部活や付き合いもあるから、中間や期末のテストでいい点をとったらいくら、としよう」と前もって決めておけば、中学に上がったときスッとその枠組みを受け入れる。うまく行った人たちの話を聞くと、子ども特有のこの時間感覚はかなり使えるようです。