「コロナやウクライナ侵攻など、地球全体で同時に同じ情報を共有して、個人的な刺激が少ないという特殊な状況ですから、時間の感覚がのっぺりしてくるのは当然のこと。」(斎藤さん)

認知症予防のためにも対人刺激は必要!

酒井 ご近所や仕事先など、人付き合いに悩む『婦人公論』読者も目立ちます。人間関係の悩みを抱える方は多いのでしょうか?

斎藤 主婦の患者さんは、9割近くが人間関係で悩んでいます。

酒井 男性は横のつながりがないから、定年後は孤独になりがち。女性の場合は、横のつながりがあったらあったで悩みの種になるということかもしれません。

斎藤 そうですね。でも、人間関係のなかでも一番悩みが多いのは、夫の両親との付き合い方です。「コロナのおかげで義実家に帰らなくて済んで助かる」、という声もよく聞きますから。

酒井 大手を振って会わないでいられる、と。

斎藤 そういうことです。

酒井 人にずっと会わないでいると、時間の流れがよくわからなくなる、ともご著書に書いておられました。

斎藤 それは、外出することや人に会うといった外からの刺激によって、時間の認識が生まれやすいからです。でもいまは、人と接触できない。そのうえコロナやウクライナ侵攻など、地球全体で同時に同じ情報を共有して、個人的な刺激が少ないという特殊な状況ですから、時間の感覚がのっぺりしてくるのは当然のこと。私もこの2年間の記憶は曖昧で、出来事の順番がよくわからなくなっていますね。やる気も起きにくいですし。