「「やってよ」と強く出ると家庭内の雰囲気が悪くなりそうで、面倒だから自分でやってしまうという妻も多い気がします。」(酒井さん)

誰でもできる対話の方法

酒井 一般的に、女性の自殺率が男性より低いのはなぜでしょう?

斎藤 女性は横のつながりを作るのが得意なので、友だち同士で愚痴を言い合ったりすることで、ある程度ストレスが解消されるからではないでしょうか。

酒井 確かに。ランチを食べながら夫や姑の悪口を言ってスッキリ、みたいな。でもコロナで人と会えなくなると、そういったストレスの発散が難しくなりました。家庭内での女性の負担を減らす必要があります。

斎藤 家族みんなで、家事の分担は公平にしたほうがいいと思います。私もコロナ下で、料理のレパートリーがぐっと増えました。

酒井 ええっ(笑)。どんなものを作るのですか?

斎藤 得意なのは魯肉飯(ルーローハン)です。

酒井 あ、台湾の豚肉料理。八角を入れて……。

斎藤 そうです。五香粉も使って。

酒井 おいしそうです。料理は自発的にされているのでしょうか?

斎藤 うちは共稼ぎなので、早く帰ったほうが自然と作るようになりました。

酒井 コロナ前から?

斎藤 いえ、恥ずかしながらコロナ禍になってからです。自分の経験からも感じるのですが、世の夫たちは、もっと家事に参加したほうがいい。

酒井 そうなんです。でも、「やってよ」と強く出ると家庭内の雰囲気が悪くなりそうで、面倒だから自分でやってしまうという妻も多い気がします。

斎藤 そこはなんとか頑張って、強行突破するとか。あるいは対話を続けて、なぜ妻と夫で意識がこんなに違うのかを共有するのも1つの方法かと。

酒井 対話というのは、結構難しそうです。

斎藤 「議論しない」「説得しない」「アドバイスはしない」を心掛け、ただお互いの考え方の違いを丁寧に掘り下げていけば誰でもできますよ。

酒井 簡単そうで、実は難しそうです。鍋の洗い方とか、ついアドバイスしてしまいそう……。そもそも、なぜ男性は家事に対する責任感が低いんでしょう。

斎藤 端的に言えば、男の子に家事をさせず、「勉強だけしていればいい」というふうに育ててしまうことが要因ではないですかね。婚活市場で一番人気がないのは、実家住まいの長男だとか。家事経験がない人が多いからでしょう。