イラスト:小林マキ
「この俳優さんの名前、なんだったかしら」……。加齢とともにもの忘れが増えたと自覚することはありませんか? 人生100年時代をはつらつと過ごすためにも、脳の健康は気になるところです。脳の老化を予防するコツを教えてもらいました
(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)

脳にたまるアミロイドβが認知症を引き起こす

内閣府が公表している『高齢社会白書』によると、日本の認知症患者数は2025年には約700万人となり、65歳以上の5人に1人が認知症になると見込まれています。

「認知症の種類はいくつかありますが、全体の約7割を占めるのがアルツハイマー型認知症です。アミロイドβと呼ばれる異常なたんぱく質が長年にわたって脳内に蓄積することで起こります」と解説するのは、いのくちファミリークリニック院長の遠藤英俊先生です。

脳内のアミロイドβは、通常は短期間で分解・排出されますが、加齢や生活習慣の乱れによってたまりやすくなるのだそう。これまで認知症は避けられない老化現象のように思われてきましたが、近年の研究により、ある程度予防できる病気であることがわかってきているともいいます。

「アメリカやイギリスをはじめとしたヨーロッパでは、日本と同じように高齢化が進んでいるにもかかわらず、認知症患者は減少傾向にあり、その要因を分析した研究が相次いで発表されています」(遠藤先生。以下同)