親が要・不要を判断し、娘は手を動かす
片づけ作業で大切なのは、できるかぎり親自身に物と向き合ってもらうこと。「お母さん、これ使う?」と、一つひとつ手にとって見てもらう。おそらく、何十年もしまったまま目にしてこなかった物がたくさんあるはず。改めて向き合うことで、「もういらないわ」と納得して手放せるようになるのです。
ただ、この作業を高齢者がするのは大変ですから、棚から物を出し、親が「いらない」と言った物をゴミ袋に入れたり、紐で縛ったりするのは、子の役目。親に判断してもらい、娘は手を動かす。これが鉄則です。
スムーズに進めるためにも、最初のアプローチが肝心。「片づけ」=「捨てる」と思って、拒否反応を示す方もいます。「片づけよう」とズバリ言うより、「この棚にホコリが溜まっているから掃除しようか?」などと切り出して、物を出すきっかけを作るのがおすすめ。
また、ご自分の荷物を実家に置いたままにしていませんか? その場合は、昔の洋服や学生時代の文具、本など、まず自分の物を処分し、「お母さんも、やる?」と導くのも有効な手です。
一般的に、年をとると判断力が低下し、動きも遅いので、親の家の片づけは時間がかかります。「今週末で終わらせよう」などと期限を決めるのは禁物。最初から「ゆっくり気長にやろう」と構えていたほうが、気がラクです。徐々に片づくうちに、親はその成果を実感して心地よくなり、速度が上がっていきますから、焦らないようにしましょう。
親は年々老いていきます。今、重い物を運べなければ、来年はもっと難しいでしょう。そのうち、軽いゴミを捨てるのも大変になるかもしれません。つまり、散らかった親の家を放置しておけば、状態は悪化する一方。
ですから、「あれ?」と変化に気がついたときに、できるだけ早く片づけを始めることをおすすめします。
片づくことで親の暮らしにハリが出て、老いの進行を食い止めることにもつながるのです。具体的な片づけ方のコツを、次回の記事で紹介しましょう。
(2) 物を減らすことに躍起にならない
(3) 大切なのは、「安心して暮らせる安全な家」かどうか
(4) 親自身に物と向き合ってもらう
(5) 終了期限を決めない