(イラスト:関口ユートピア)
日本の第二次ベビーブームは1973年、1970年代の半ばから少子化現象が続いています。高度成長期の新興住宅地では、子育て家庭で活気に満ちていた地域も現在では人口が減少し、学校の統廃合が進んでいるところも。また、結婚や家族のスタイルも多様化し、子どものいない人生を選ぶ人たちもいます。そんななかでも「夫婦は子どもがいて当然」と考える人はまだいるようでーー。篠原孝子さん(長野県・パート・58歳)が引っ越した先には、古い価値観を押し付けるご近所さんが。終の棲家と決めた家を引っ越すわけにもいきません。選ぶことができない人間関係に悩まされ、心は蝕まれていくばかり……。

引っ越し早々、投げかけられた言葉は

私が41歳のとき、夫婦2人で新興住宅地に引っ越してきた当時の出来事です。早々に、はす向かいの70代の女性がわが家を訪ねてきました。玄関先に招き入れると、彼女は開口一番、「ここは、子どものいる人ばかりの子育て村ですから!」と言い放ったのです。あまりに突然でうろたえてしまい、「そうなんですか」と返事をするのが精いっぱいでした。

子どものいない夫婦がこの地域に引っ越してきたことが、そんなにもおかしいのでしょうか。独身の人も既婚の人も子どものいない人も、住む権利は平等にあるはずです。よりによってこんな偏った考え方をする人がご近所さんだなんて、先が思いやられるなあ、と不安な気持ちに。

その直感は見事に的中しました。今度はふらふらとやってくるなり、「子ども会の育成会に関する回覧板、子どもがいないお宅は飛ばして次の人に回しておいたから」。それってわざわざ言いにくること? 明らかに嫌みに思えてなりません。

むやみに反応するとさらに攻撃してくることが目に見えていたので、ここはひとつ大人の対応を。なにせこちらは共働きで忙しいので、貴重な時間を使ってまで争いたくありません。とにかく相手に刺激を与えないこと。今度訪ねてきたら、インターホン越しに応答しようと決意しました。