暢子がこのキャラクターになる伏線はあった。1964年という設定だった第6話で父親・賢三(大森南朋)が心臓発作で亡くなる間際、こう言い残した。ご記憶ではないか。
「暢子は暢子のままで上等。自分の信じた道を行け」
人間は子どものまま過ごすと、その後の人生はどうなるのか。それを見届ける朝ドラなのである。
ろくでなしの兄
暢子と関係する人たちの群像劇でもある。実際、暢子以外の登場人物が描かれるシーンが多い。群像劇を織りなす構成メンバーはまず家族。母親の比嘉優子(仲間由紀恵)は働き者だが、子どもにとことん甘い。こういう母親は昭和期によくいた。戦争を経験し、子ども時代に苦労を強いられたことが強く影響しているはずだ。
兄の賢秀(竜星涼)はトホホ過ぎる存在。ろくでなしだ。もっとも、勤め先の養豚場の経営者・猪野寛大(中原丈雄)は、娘の清恵(佐津川愛美)とゴールインさせようとしているから、いいところもあるのだろう。