「曲を聴くたびに、『うなだれていちゃダメだ。僕たちを見て!』と鼓舞してくれる気がするの」(麻木さん)

土岐 彼ら自身の体験や感じた思いを歌詞にしているからこそ、心に刺さるんですよね。

麻木 そう。アイドルなんだけど、歌に社会への問題提起や意思が詰まっている。お尻を蹴飛ばしてくれる力強い曲もあれば、自己肯定できる優しい曲もあって。私にとって処方箋のようなものなので、これさえあれば老後を生きていけます。(笑)

黒沢 私は東方神起に出会ってから積極的になって、自分からトンペンに話しかけられるようになりました。推しが同じという共通項があるからこそですね。

あとは、仕事でさえ地方に行くのが億劫だったのに、一人で韓国に行っちゃったり。トンペンと知り合った翌日に、地方公演へ一緒に行ったこともあります。

土岐 私も〈変わること〉に対して積極的になりましたね。これまでは音楽を作るうえで新しいジャンルでも抵抗なく取り入れていたのに、40歳を過ぎた頃から少し躊躇することも出てきて。プライベートでも、「派手な髪色にしたらヘンかな」とか……。

麻木 無意識のうちに、年齢に縛られていたんですね。

土岐 はい。でも韓国のアイドルって作品を出すたびにコンセプトをガラッと変えて、これまでと別人のようなルックスや表情でパフォーマンスするじゃないですか。それを見ると、「やっぱり変わることや新しいものを提示するって正義だよね」と思えて。背中を押してもらった気がします。

プライベートでも、韓国語の勉強を始めちゃいました。もう一度思春期がきたような感覚です。

麻木 うわあ、すごくわかる! 思春期かあ。ワクワクします。