薄暮に浮かび上がる銀冠菊(ギンカムロギク)が夏の終わりを告げ

緑や黄は非常に明るい

花火業者とお付き合いするようになると、冬でも花火が上げられていることを知った。それまで花火は夏のものだと信じ込んでいたが真冬の花火も良いものだ。真っ白な銀世界を花火の灯りで照らし出す。なんと幻想的な風景だろうか。

また当初から「花火のある風景写真」に拘ったことで写真の中に地域性が出るようになった。最初は4x5のポジフィルムで撮影した。次第に動きやすさを求めてハッセルを使うようになり、最終的にはペンタックスの6x7に落ち着いた。フィルムはほとんどがフジのベルビア120。枚数が撮れないので三台のカメラを同時にセットして、撮り逃しのないように工夫した。

基本はバルブシャッターだが、ナイアガラや型物花火などは数分の一秒単位で切る。しかし、慣れるとバルブのまま自分の感覚で撮れるようになるものである。

一番難しいのは見たままの色を出すことで、緑や黄は非常に明るいので通常よりも絞る。また青色はバックの黒に沈み込むので一段開けて撮る。また同じ色でも、花火業者によって微妙に明るさが異なるので、そのあたりは経験を積むしかない。

あれこれやっている間に30年以上の月日が流れたが、未だに完璧な写真は撮れていないのかもしれない。