カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう?
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第6回は「カメラに自分を合わせる」です
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第6回は「カメラに自分を合わせる」です
弘法筆を選ばず。カメラに文句をいってはならない
〔 撮り方 〕
荒野の墓標と呼ばれる奇岩群ピナクルス。
昼間のうちに夕日が見える場所と、月の出が見える場所のロケハンをしておいた。
万が一雲があり、月か太陽が見えない場合はどちらを撮るのか、また月が出たらどこで撮るのかを決めておいたのだ。
イレギュラーなことを予想し、2台のカメラには広角系と標準系のズームを用意しておき、予想外の雲あるいは虹に備えて超広角系ズームもスタンバイしておく。
この作品のイレギュラーは、ピンクの雲と地平線近くの雲。雲で月が隠れないように急いでシャッターを切る。
また、シャッター速度が遅いと月がいびつな形になるので、1秒より速く設定した。
露出はピンクの雲が表現できるように6段階撮った。
僕はオートブラケティングは使用しない。状況で露出の振り幅は変わるし、毎回同じ幅はあり得ないからだ。