(イラスト:丹下京子)
年齢を重ねたとき、家族以外に頼れる友人がいるのは心強いものです。内閣府の国際調査では、日本の高齢者で「親しい友人がいない」という人は3割にのぼり、アメリカやドイツなどの10%台、スウエーデンの9.9%にくらべて多くなっています。また、「異性、同性両方の友人がいる」人の割合は12・6%で、アメリカ、ドイツの5割程度にくらべ、少ない傾向に。そんな大切な女性同士、心を許し合ったかけがえのない存在だからこそ、関係に亀裂が入ると元どおりになるのは難しいもの。飯田恵子さん(仮名・東京都・主婦・63歳)も、大学時代の友人関係に変化が起きてしまったそうです。

唯一無二の親友と思っていたのは私だけ?

今から40年以上前、大学入学後も親しい友だちができずにいた6月のこと。学食で同じクラスの陽子さんに「一緒にランチを食べよう」と声をかけられたのが、私たちの出会いだった。

その日から、同じクラスの真美さんと静子さんも交えた4人グループでのつきあいがスタートした。毎日のようにランチをし、春や夏の長期休暇には旅行を楽しむ日々。大学を卒業し、就職先は違っても、月に1回は集まって友情を育んでいた。

卒業して1年経った頃に真美さんが結婚し、その2年後に静子さんも結婚。4人揃って会う回数は減ってしまったが、独身の私と陽子さんは、2人だけで旅行をしたり、夜中まで電話をしたり、より親密になっていった。

やがて私が紹介した大学時代のサークルの先輩と、陽子さんは結婚。結婚式では私が友人代表としてスピーチを務めた。

1年後の私の結婚式で友人代表の挨拶をしたのは、もちろん彼女だ。子どもを産んでも、私と陽子さんは唯一無二の親友として関係を築けていた。