自分の意見を言わないあの人の本心は
ある日の朝、エレベーターで乗り合わせたB女史に、「最近、梅田ちゃんと親しいのね」と声をかけられた。心臓がドキリと大きく動く。まさか、梅田さんに何か言うつもりだろうか。悩んだ末、これまでB女史にされてきたことを梅田さんに打ち明けることにした。
根も葉もない噂を流されたこと、嘲笑されたり無視されたりしたこと――。黙って話を聞いていた梅田さんは、「わかった」と言った。私は心から安堵した。これでもう大丈夫……。
結論から言えば、大丈夫ではなかった。数日後、「社内部活動 ウクレレの集い」の掲示にびっくり仰天。幹事の欄に、《B&梅田》と書いてあるじゃないか。
梅田さん、なんで?
茫然としている私に、「私と梅田ちゃん、先月からウクレレ友だちなの」と、B女史はしてやったりの満面の笑み。先月といえば、梅田さんは私からB女史の所業を聞いた直後に、ウクレレを始めたことになるじゃないか!
もちろん、梅田さんが誰とどういうつきあいをしようと自由だ。でも私だったら、大切な友だちを傷つけた相手とわかっていて親しくするなんてできない。私がどう思うか、ちょっとでも考えてくれなかったのだろうか。