私は気づいた。結婚とは、最高最強の生活保障だと(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
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母の選択

「結婚ってなに」――不仲な両親のもとで育った私にとって、子どもの頃からの素朴な疑問だった。喧嘩ばかりの両親を見て、離婚すればいいのにとずっと思っていた。

先日、仕事先で感じのいい女性に出会った。意気投合して休憩時間にお茶を飲みながら、意外な話を聞いた。引っ越し業者が見積もりに来るから、定時に退勤したいと言う。離婚に伴う転居だそうだ。自分で決断したことだが、現実になった今、経済的に将来がとても不安だ、と話す。

私は、自分が同じ立場になったら、と想像してしまった。狭いアパートでの一人暮らしは孤独だ。病気や事故で入院することになったらどうしよう。たいした経験も資格もない私がいくら稼げるだろうか。収入が減れば、明らかに生活レベルは下がる。

私は気づいた。結婚とは、最高最強の生活保障だと。社会的にも経済的にも、夫に守られている。

母だって、腹の立つことや不満はたくさんあっただろう。それでも、父と夫婦でいることを選んだ。そんなものなのかもしれない。母にとっては、賢い選択だった。

そして、父が亡くなって、今、母は一人。父を愛していたことに気づいただろうか。


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