ニューヨーク到着後の自宅隔離中、やることがなくてニンテンドースイッチの、ゴルフゲームで運動不足解消

郷に入っては郷に従え

翌日、息子が入学予定の日本人学校に電話して、検査が「陰性」だったと伝えた。初めての登校日について相談していると、小学校の担当者はハッキリと言った。「コロナのワクチンはしていますか? 最低でも1回はしていただかないと入学できません。全生徒が打っています」

これを聞いて、私たち夫婦は絶句した。日本では子どもへのワクチン接種に慎重な議論が続いていた。もし渡米していなければ私も、接種を躊躇していただろう。でもニューヨークでは子どもでも接種をしなければならないんだと気持ちを切り替えた。

では、どこで打つべきなのか?キョウコちゃんがおしえてくれた予約サイトをのぞくと、それは「うわさの薬局(ドラッグストア)で打つ予防接種」だった。サイトには、近くの薬局の店舗一覧と空き枠のカレンダーがあったのだが、それは日本の常識とあまりにかけ離れていて驚いた。

私たちは日本で、自治体の接種券を長い期間待って、かかりつけ医や接種センターに電話で問い合わせ、やっとの思いで2回の接種をしたのに。ニューヨークではほんの数分で予約ができ、変更やキャンセルも自由自在。私たちが過ごしたワクチン狂想曲ともいうべき半年は、なんだったのか?

私は、なんでもかんでも欧米がスバラシイみたいな古い考え方には共感できない。日本の方が丁寧できちんとしていることも多い。しかしコロナに関しては、日本の行政のダメさ加減は群を抜いていた。アベノマスク、遅すぎる給付金、不十分な検査体制にワクチンの複雑な予約方法……。NYのワクチン予約サイトをみて、敗北感でいっぱいになった。

早速予約しようとしたが、その前に一つ気になることがあった。薬局での接種って大丈夫なのだろうか?医者もいない場所で、子どもになにかあったらどうするの?夫も同じ気持ちだったらしく、彼はあちこちの病院に電話しはじめた。すると複数の医者から同じことを言われた。
「お子さんは重篤な基礎疾患をお持ちですか?なければ病院ではうてません」
「うちの小学生の娘も薬局でワクチンうってますよ」

そうか、薬局でワクチン接種するのがアメリカの常識なのか!私は、もう一度、サイトにアクセスして家族3人の予約をとった。郷に入っては郷に従え、だ。