噂のドラッグストアでの予防接種  店内の仕切りの奥に、次々と人々が吸い込まれる

はじまったニューヨーク生活

渡米からわずか5日目、雪の降る寒いマンハッタンを歩いて向かったドラッグストアで、私たちは3回目(息子は1回目)のワクチン接種をした。店舗の一角が仕切られた場所で、待ち時間はわずか5分。あっという間に終わった。次々とくる接種希望者。多くの人々がひと打ちして気楽な感じで帰っていく。

もらったワクチン証明書は、CDC(米国疾病採択予防センター)の正式書類ではあるが、名刺ぐらいの厚紙に手書きで接種日時などが書かれたものだ。この証明書があれば、どこのレストランにも劇場にも入ることができた。デジタル化が進んでいる一方で証明書は手書き。緊急時に手をかけるところと、かけなくていいところの設計がシンプルで合理的だ。この後、私と夫は、よれよれになるまでこのカードを携行することになる。

渡米からわずか1週間だが、ワクチン接種を終えた私は大学へ、息子も小学校に登校して本格的にニューヨーク生活がはじまった。と、思った矢先、息子と夫がコロナに感染してしまった。ワクチン接種後に抗体ができる前に、感染してしまったのだ。

多分コロナをもらってきたのは、地下鉄で毎日外出していた私だと思う。でもなぜか私は陰性だった。夫と息子は一晩だけ高熱が出てそれで終わり。あんなに怖かったのに、実際はとても軽かった。

ちなみに息子の学校では、あらかじめ支給されていたパソコンで、翌日からフルリモートの授業がはじまった。その対応のあまりのスマートさにも脱帽。多くの命が失われたこの街の、withコロナの生活は、私たちの常識をこえて遥かに充実していた。