かれん 子育てと介護はもちろん全然違うけど、「24時間、目の離せない存在と暮らす」という点では同じだから。弟のローリーは鈍感というか楽観的というか。(笑)
ノエル カナダでは子育てに参加する男性が増えているけれど、彼らを見ていて思ったのは「鈍感さ」も実は大事なんじゃないかってこと。女性はいろいろ先回りして考えすぎるから、イライラする面もあるんじゃないかな。それは介護でも同じ。だから私、母と一緒に暮らすのはローリーのほうがよかったかもって思うことがあるのよ。
かれん そうかもしれない。実際ローリーは母の世話をする時、ストレスを感じているように見えないんだもの。(笑)
ノエル 気を使わないし、特に何か頼まれない限りは母を放っておけるのよね。私はそうはいかなくて、「退屈してるんじゃないか」「お友だちを呼んだら楽しいかも」といろいろ先走って、期待した反応が得られないとガックリ落ち込む。同居生活の最後の頃は、そんなこんなで相当疲れきっていたと思う。
プロに頼ることですっかり元気に
かれん ノエルが精神的につらそうだというのは感じていたし、私自身、母のことをすべて任せきりなのは申し訳ないとずっと思ってた。だからノエルに「同居を解消してカナダに戻りたい」と相談された時は、すぐに賛成できたの。
ノエル 介護って、先が見えないつらさがあるじゃない。私も50代半ばで、何かまた新しい生活を始めるなら最後のチャンスかもしれないと思って。
かれん 1歳違いだから、その気持ちもすごくわかった。