感染対策の面ではしっかりした場所

三賞は、殊勲賞が玉鷲(2回目)と前頭筆頭・翔猿(初)、敢闘賞は高安(6回目)、技能賞は関脇・若隆景(4回目)が獲得した。

前頭8枚目・北勝富士は初日から9連勝して土俵を盛り上げたが、14日目に若隆景に負けて4敗となり優勝争いから脱落。北勝富士は、千秋楽に勝てば敢闘賞を獲得できるという条件がついたが、関脇・大栄翔に負けて賞も逃した。

千秋楽に勝ち越した前頭3枚目・宇良の相撲には今場所も感動した。宇良は4日目に前頭5枚目・宝富士に幕内では20年ぶりの珍しい技「伝え反り」をして勝利。
10日目には、もぐろうとする宇良と起こそうとする若隆景が根性の力の出し合い相撲を取った。見ている私も力んでしまい、すぐ買ったばかりの血圧計で測ってみたら案の定血圧が上がっていた。

先場所は、次々に新型コロナウイルスの感染者が出て、濃厚接触として最終的に13部屋の力士が休場となった。それを考えれば、感染対策の面ではしっかりした立派な場所といえる。しかし、千秋楽恒例の「協会ご挨拶」に、八角理事長と共に土俵に上がった大関、関脇、小結が全員千秋楽の優勝争いに参加できなかったのは寂しい。

千秋楽には恒例の三役揃い踏みがある。東から登場した大関でただ一人勝ち越した貴景勝が扇のかなめとなり、前に若隆景と兄の前頭6枚目・若元春が並んで四股を踏んだ。玉鷲に勝ったのは若隆景と若元春だけだった。若隆景は11勝4敗で二桁を上げ大関への足掛かりを作ったといえる。若元春は千秋楽で大関・御嶽海を寄り切り10勝5敗。この二人には来場所も大いに期待したい。