2022年9月11日、東京・両国国技館で始まった大相撲九月場所。先場所は「敵は新型コロナウイルスにあり」、合計13部屋が休場となってしまった。今場所は無事乗り切れるのか? 横綱・大関・小結のバトルも楽しみな今場所、朝青龍が見つけた逸材はどうなる?など見どころは満載。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。大荒れの秋場所、千秋楽を終えて、その感想は――。

前回「直接対決!優勝は関取最年長37歳10ヵ月の玉鷲か?1敗差で追う高安の初優勝なるか?高安が勝てば優勝決定戦に」はこちら

昭和33年以降最年長の優勝

大相撲秋場所は、平幕力士のバトルの末に、幕内最年長37歳10カ月の前頭3枚目・玉鷲が13勝2敗で21場所ぶり2回目の優勝を果たした。年6場所となった昭和33年以降最年長の優勝となる。

玉鷲は、千秋楽でただ一人1敗の差で追っていた前頭4枚目・高安との直接対決となった。玉鷲は高安を突き押しで攻め続けて勝利。体中から気迫があふれていた。高安は、NHK大相撲放送の解説者たちが「一生懸命稽古をしている」「真面目だ」と評価し、何度も優勝争いに登場しているが今場所も優勝を逃した。

「鉄人・玉鷲」と以前から呼ばれている通り、玉鷲が強すぎたのである。玉鷲は通算連続出場1463回で歴代3位となった。

驚いたのは、テレビ画面に映し出された玉鷲の所属する片男波部屋の稽古風景。関取は玉鷲しかいず、弟子の人数が少ないため、玉鷲の前と後ろから弟子が押して勝てる稽古をしている写真だった。千秋楽の正面解説の北の富士さんは、現役時代に共に活躍した片男波部屋の玉の海(元横綱)もそういう稽古をしていたと語っていた。コロナ禍でも工夫次第で稽古はでき、玉鷲のように元気溌剌と活躍することができるのだ。