「数」と「位置」が気にくわない義妹が恐ろしい形相に
無事に通夜が終わり、翌日の葬式。みんなでお寺に移動する。そこで最初に目に入ったのは、門の両脇に1つずつ並ぶ私の父の名の花輪だった。否応なしに目立っている。そこを通らなければ寺の中には入れないのだから、みんなが目にする。母が「2つ注文」した結果だ。
夫の花輪はどこだろうと探したら、後ろの目立たない場所に1つ。義妹の夫の花輪も隣にぽつんと置かれていた。なんだかなあと思っていたら、義妹が恐ろしい形相でにらんでいた。
「これは何っ!」
私が説明すると、「私の夫の親の花輪は1つで目立たないところにあるのに、どうしてあなたの親のが目立つところに2つもあるの!」。ものすごい剣幕でまくしたてる。葬式の開始時間が迫っても、義妹はそこから動かない。
彼女をなだめるために義父母がとった行動は、私の夫の花輪をさらに下げ、義妹の舅の花輪を目立つところに入れ替えることだった。夫は何も言わなかったが、葬儀が終わるまで一言も話さず、「仕事があるから」と帰ってしまった。
いたたまれない思いで本堂に入ると、そこには親族の花輪が飾られていた。義祖母の子どもの花輪はわかる。なぜ、外孫(義父の姉たちの子)の花輪がここに? 「本家の孫」である夫と義妹の夫の花輪は外の目立たない場所なのに。義父が姉たちに言われて指定したのだという。何なのだろう、この序列は。