義妹が「そちらも花輪は1つね」と

夫の実家まで車で半日はかかる。数珠などひと通りの葬式セットを携えて義実家に向かうと、すでに弔問客であふれていた。

幼子を二人抱える私は動きが取れないので実家に電話して、会場での子どもの世話を頼んだ。父は問題ないのだが、母が曲者だ。私は母と犬猿の仲なのだが、今回ばかりは仕方がない。

子どもを父母に預け、こまごました仕事をしていると、義妹がやってきた。普段は明るい彼女なのだが、最近は配偶者とうまくいっておらず、私に泣いて電話してくることもあった。配偶者が出張中で不参加のせいか、義妹は終始イライラして目が吊り上がっている。

親族だけで50人近くが続々と到着。すると、義妹が「そちらも花輪は1つね」と言ってきた。孫である夫と義妹の供花はそれぞれ1つだからね、という意味だ。私は夫の名前で1つ、と係に注文した。

しばらくして、弔問客への対応でてんてこまいになっている私に母が近づいてきた。「うちの花輪は1つにしようと思ってたけど、そちらの親族から『おたくは〈濃い〉から 2つでいいんじゃない』って言われたからそうするね」と言って去っていった。

死んだ義祖母と私の祖母は従姉妹同士という縁もあって、私は義祖母にかわいがられていたのだ。