全世界的にインフレが発生するとどうなるか

同じ商品を買うにしても、より安い商品を見つけられれば、支出額を減らすことができます。スーパーをハシゴして安い店を探すという行為は、(1)の典型的なパターンです。

仮に欲しい商品の購入をあきらめたとしても、その代わりになるものを見つけることができれば、従来の生活を維持できます。

毎年、海外旅行に行っていた世帯が国内旅行に切り換えるといったケースは、旅行に支出するという部分では同じですが、代わりとなる別のサービスに切り換えたということですから、(2)に相当します。

いっぽう、生活に欠かせない商品については支出を削ることができませんから、多くの場合、節約は贅沢品が対象となります。

『スタグフレーション 生活を直撃する経済危機』(著:加谷珪一/祥伝社新書)

それでも効果が不十分だった場合、徐々に生活必需品に近い支出も削減の対象にしていくことになります。人には消費欲というものがありますから、通常、(3)はあまり選択されないと考えてよいでしょう。

ところが、全世界的にインフレが発生した場合、状況は大きく変わります。インフレが進むと、節約の王道である(1)と(2)の手段が使えなくなってしまうからです。