延命治療の有無は周りの人と話し合いを
では、終末期医療で受けられるケアについて紹介していきましょう。具体的な内容は、左記の「身体的ケア」「精神的ケア」「社会的ケア」の3つです。
1)身体的ケア
終末期の体には、痛み、食欲不振、全身の倦怠感、不眠、呼吸困難など、さまざまな症状が表れるもの。こうした苦痛や不快感を和らげたり、取り除いたりするために投薬などを行い、QOL(生活の質)を下げないようにしていきます。
また、食事や入浴、排泄などの介助をはじめ、自力で動けなくなった場合には清拭や床ずれ防止の体位変換などのサポートも。これらは、家族の負担軽減にも繋がるでしょう。
口から食べられなくなった時には、点滴による「中心静脈栄養」、チューブを使って直接胃や腸に栄養を入れる「経管栄養」、お腹に穴をあけて栄養を注入する「胃ろう」などの処置を行います。ただし、これらの栄養補給は生命を維持すること(延命治療)になるため、本人や家族の意思を尊重し、行わないという選択も可能です。
緊急時に「心臓マッサージをするか」「人工呼吸器をつけるか」についても同様。心臓マッサージを受けることで肋骨が折れてしまうケースは多く、また、人工呼吸器は一度つけると基本的には外せないということも、選択の際のリスクとして知っておきましょう。
2)精神的ケア
自分の余命を知ると、当然ですがたいていの人はショックを受け、現実を受け入れるまでに時間がかかってしまうものです。また受け入れられたとしても、苦しみがなくなるわけではありません。避けられない死を前に、不安や恐怖、残していく家族への心配などから精神的に不安定になり、落ち込む、焦燥感を抱く、眠れないなど、さまざまな症状に見舞われることが多いのです。
患者さんのそんな不安な心に寄り添うように、カウンセラーが話を聞くなど、精神的なケアを行っていきます。