最期の時まで楽しむことを忘れない
終末期医療で受けられるケアを理解したら、次に考えるべきは「医療機関(ホスピス・緩和ケア病棟)」「高齢者施設(老人ホームなど)」「自宅(在宅医療)」のどこで終末期医療を受けるかということです。
自身の性格や何に安心感を覚えるかなどを思い浮かべ、検討してみましょう。その際、経済的な見通しも併せて考えなければいけません。
前出の厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計」によると、医療機関で亡くなった人の割合は69.9%、自宅は15.7%でした。しかし内閣府の「令和元年版高齢社会白書(全体版)」によると、「完治が見込めない病気の場合に迎えたい最期の場所」という質問に、51.0%の人が自宅と回答しています。実情と希望には、大きな乖離があるようです。
多くの人が希望している「自宅」での終末期医療は、訪問診療や訪問看護が中心になります。これは私が仕事をするなかで実感していることですが、日常の延長でリラックスして過ごせるためか、医師の予想を超えて余命が延びるケースがしばしばあるようです。
その反面、自宅で終末期を過ごすとなると、どうしても家族に大きな負担がかかります。トイレや食事、床ずれ対策など、訪問看護を受けるとはいえ、24時間体制でのケアが必要になるため、家族が肉体的・精神的に疲弊してしまうことも。自宅で過ごす終末期には、医療と介護、家族の連携プレーが欠かせないと理解しておきましょう。