3)社会的ケア

どのくらいの期間を生きられるのかわからない終末期において、どうしても気になってしまうのはお金の問題ではないでしょうか。確かに、入院や介護には多くの費用がかかるもの。ですから、本人や家族にのしかかる経済的負担を減らすべく、医療費の軽減や支援制度にまつわる情報の提供をケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーが行います。

そのほかにも、「身寄りがない場合」「遺産相続や遺品整理」「家族のストレスに対する精神的な支援」など、経済的、社会的な不安を取り除くための対応を幅広く行っているため、ちょっとした悩みでもケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。

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終末期医療において、延命治療をするかどうかは大きな決断になります。本人の意思だけではなく、家族の想いも考慮し、しっかりと話し合っておくことが大切です。そういったやりとりができていないと、本人は延命治療を受けずに家で最期を迎えたいと思っていたのに、希望を知らなかった家族が不安から救急車を呼んでしまいかねません。

意識のない本人にかわって延命治療に同意して、心臓マッサージが始まり、人工呼吸器をつけることになってしまったりも。すると、何年も回復の見込みも意識もないまま、医療費だけがかかっていくという事態が起こりうるのです。

大事な家族の生死を前にした時、多くの人は「できるかぎりのことをしてほしい」という気持ちになるもの。決断を下さざるをえなくなった家族が後悔しないよう、きちんと意思表示をしておきましょう。

 

【望みを明確にしておきたい5つのこと】

□ 「医療機関(ホスピス・緩和ケア病棟)」「高齢者施設」「自宅」のどこで終末期医療を受け、最期を迎えるか

□ 口から食べられなくなった場合、栄養を補うか否か
※補う方法は、点滴の「中心静脈栄養」、チューブで直接胃や腸に栄養剤を注入する「経管栄養」、お腹に穴をあけて栄養を注入する「胃ろう」の3つ

□ 救急の延命治療をするか
※「心臓マッサージを行うか」「人工呼吸器をつけるか」について

□ 誰に身のまわりのケアを頼むか

□ 費用面の段取

自分の意向は、家族やかかりつけの病院、地域のケアマネジャーなどに必ず伝えましょう